TREK エモンダとドマーネ
2016-09-07



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        写真:左がエモンダ2015モデル、右がドマーネ2016モデル

2016年7月に、2007年モデルのTREKマドン5.2のフレームを、2016年モデルのTREK ドマーネ5.2に交換した。前年にTREKエモンダSL6を入手し、この10年間でのカーボンフレームの進化を実感し、約10年前のマドンを今後も乗り続けようという気持ちが薄れたからだ。

TREKのロードバイクの商品構成で、エモンダは軽量指向、ドマーネは振動吸収に優れて長距離快適指向、マドンは2007年モデルの頃はいわゆる(普通の)レーシング用ロードバイク、という位置付け。今のマドンは空力重視モデルだが。

私が購入を検討する時点で、ドマーネの新型が出ることは公式にアナウンスされ、その先行モデルが既に雑誌に紹介されていた。新型は、ドマーネのウリの振動吸収を何段階かで調整できるようになっており、コースや状況に応じて自分好みの調整ができる。

しかし、私はそういうのは好まない。走りながら調整できるわけではないし、なんというか実効性に欠ける気がする。それに、様々な路面コンディションをはじめ、フレームにかかるあらゆる外力のバランスを総合的に勘案し、いかに目的に合致した走りにもっていくのかがフレーム設計の根幹だと思うのだが、その肝心な部分が放棄され、ユーザーの「(調整)自己責任」にもっていかれそうな気がするからだ。

ところで、私は広告の仕事に携わっているのだが、なんというか広告にのせられやすい性格なのだと思う。自分達が売る広告商品をこれまで特に悩むことなくクライアントに勧めてきた感覚と同じように、他人が仕掛けてくる広告についても素直に応じてしまいがちなのである。特に、自分の趣味分野の場合。その結果、自転車をはじめ、身を挺して消費行動を実践するというか散財してしまっている。広告性善説にたっているのだろうか。広告は信頼できない、という考えが根底にあったなら、そんな仕事で人生の大部分を費やすのは、たいへん辛いことになるので、無意識的にそうしているのかもしれない。

話がそれたが、要は、10年近く乗ったフレームを買い換えるにあたって、広告を入口としてカタログを熟読していたら、これまでは何とも思ってなかった「エンデュランスロード」という分野に興味がわき、購入してしまったということ。

雑誌やネットでみかけるエモンダとドマーネの比較インプレ記事をみると、大概、メーカーカタログに書いてある通りの、当たり前のことしか書いて無い。

雑誌やネットに登場するインプレライターで、メーカーが言っていることにネガティブな内容を、客観的な説得力をもって書ける感受性と文章力を持っている人は、まずいないのではなかろうか。それは、なにも、メーカー側が検閲するとか雑誌の編集長が朱を入れるとかそういうことではなく、ブラインドテストではないので、真面目に事前資料を読んだり説明をうけてから試乗すると、予定調和から外れる感覚をもつことが起こりにくいのではあるまいか。そもそも、ネガティブなことを書く動機が存在しないだろうし。

アメリカの自転車雑誌は、可能な限り客観的な評価ができるような仕組みと工夫、取材経費をかけて書いた力作のインプレッション記事を読者に与えてくれることがしばしばある。例えば、フレームチューブの比較なら、同じスケルトンで同一のパーツやホイールをアッセンブルして、比較対象が違うだけの自転車を何台も造り、客観性が担保されやすいように、計測データは複数回とってグラフに落とし、平均値をとる、とかそんな具合。辛口の指摘もけっこう多い。フレーム素材のカタログデータだけで「やっぱり○○でつくると△△な感じをうけますね」なんていう表現をそのまま掲載することもある日本の雑誌とは対極。


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